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空回り【銀魂】

第18章 クリスマスデート


沖田は目を見開いたまましばらく私を見つめた

そしてスッと右手が差し出され、私はその手をそっと握った


通りから抜けたすぐそばの海辺まで行くと握っていた手が静かに離された


『…綺麗』

波の音だけが響いていて落ちる雪が静かに海の中に溶けて行くのをじっと見つめた

綺麗だけど…




『さ、寒い!』


神楽ちゃん、海はそんな長時間居られないから!!


「吉野、」

『は、はひ?』

両手で体を擦りながら沖田に振り向いた

「んな格好してっから寒いんでィ。もっと厚着してこい」

『え…あ、あぁそうだね!失敗しちゃった~』

そう言って笑った顔も寒さのせいか引きつっていた


本当に何してるんだろう。


さっきから私ばっかり空回りしてる…。


沖田は私から視線を逸らし、背中を向け溜息をついた

「飲みもん買ってきてやらァ」

『えっ』

「待ってろィ」

『こ、ここで!?』

「別に、何なら泳いでてもいいぜィ?」

『く、くそドSー!』

ニヤッと笑い歩いて行く沖田に叫んだ





でも…優しいんだよね。


そんな沖田だから好きになったんだ、きっと。


砂浜の近くまで行き、腰を下ろした


『ここで…夏、沖田と花火したんだっけ…』

不思議、あの日がついこの間のことのように感じる。

沖田の気持ちもわからないけど、私もはっきりしなくちゃいけない

後悔しないように…ちゃんと考えて…。


"一緒に卒業しようナ!"

神楽ちゃんの言葉を思い出し、視界が涙でぼやけた

『ッ!』

時間がこのまま止まればいいのに…。










『沖田…遅いなぁ』

もう20分くらい経つのに沖田が戻ってくる気配はない

『自販機…近くになかったのかな…』


それとも…


突然ビューっと強い風が吹いて思わずその場に縮こまった

『寒い…』


沖田、早く戻ってきてよ



好きって伝えたいよッ


それで、行くなって…言ってよ!


『沖田ァッー』

「どうした?」

後ろから聞こえるその声に振り向き、顔をあげた


『!沖っ』


だけどそこにいたのは沖田ではなくて


『っ……え』
  


それは私が3年間ずっと想いを寄せてきた

- 大丈夫か? -


あの日の彼だった
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