第16章 ドライバー編(原作沿い)
「…ただ、近藤局長のために、
俺に協力して欲しい。」
「気に食わねぇ、
協力なんざ御免だって奴は
出ていってもらって構わねぇ。
…俺がそれだけ局長として
足りてなかっただけだ。
引き止めねぇよ。」
「だが、ここに残る以上、
俺が局長をやらせてもらうことは
許して欲しい。
俺なりに………精一杯やるから。」
そこまで言って、我に返る。
……俺、何言ってんだ。
一人でペラペラ好きなこと喋って……。
本当はこんなこと
話すつもりじゃなかったのに。クソッ
絶対ストレスだ。ストレスのせいに違いない。
「………えっと。それで、
俺が局長をやるにあたり、
明日、新しい人員配置を出すので
それまでに辞表を出したい奴は
出しに来てください。今日の朝礼は以上です。
それぞれの職務に当たってください。解散。」
そう言って一方的に部屋を出た。
俺が出るとガヤガヤと部屋の中がざわめき立つ
もう知るか。
絶対俺に任せる方が間違ってるし。
「澪ー!」
後ろから退に呼び止められる。
「……退…。」
「凄かったよ澪。
あんな君の姿初めて見た。」
「…お願い、忘れて。
気の迷いだから。」
「え?そうだったの?
なんか、澪の考えてる事が皆に
伝わって良かったと思うけどなぁ。」
「………そう?本心なんて、
知らない方がいいよ。」
「でも、知ってた方がいい事もあるって。
俺はそういうのもっと出してった方が
いいと思うな。」
「……………そうなの?」
「うん。近藤局長も
裏表無いガバガバだったじゃん?
あそこまでさらけ出さなくてもいいけど
澪も機械的にならずに、
ちゃんと相手に気持ちを伝えるように
したらどうかな?」
「……………気持ちを、伝える…か。
分かった。やってみる。」
「うん!俺は澪の
友達兼局長補佐だからね。
困ったらなんでも言ってよ。」
笑ってくれる退に心が少し救われる。
退と仲良くなっておいて良かったと
心から思った。