第34章 すれ違い
宿に着いてすぐ師詠さんはお風呂へ…
私は六畳ほどの和室で壁に寄りかかりぼっ〜っとしている。
「……雫ちゃん………人間みたいで…人間じゃなかった…………
まるで…ゾンビみたいだった…」
力なく、膝の上に置いた自分の手に視線を落とす…
(あんな風に…私はなりたくない……)
力無い拳をつくる。
"ミシッ…ミシッミシッ….…"
「……」
師詠
「お待たせ💚」
「………」
師詠
「さぁ💚今日は疲れただろ?寝よう💚💚」
師詠さんは私の作ったままの拳を掴むと、
立たせた。
師詠
「……クロウがあと半年待てば良いって言ったよね💚
でもさ、よく考えたら…妖界に来ている時点でちゃんは、
妖怪に娶られる覚悟があって来たんだよね?💚」
見つめあう師詠さんとわたし
(そうだ…そうなんだよね……)
「はぃ……」
師詠さんの目を見つめていると…
不思議…抵抗さえ出来なくなってしまいそうなほどに
思考停止寸前になる。