第16章 水田の中
「眠たい……」
きっと今は人間界では夜に違いない…
クロウさんの胸に抱かれながら気を許したら眠ってしまいそうだ。
「暫く、貰い手が見つかるまで狼男の家に居候だよ。」
そんな私の状況を知ってか沢山話しかけてくるクロウさん。
「居候……するくらいなら…
人間界に戻りたいです……」
「…戻らない方が良いと思うけど。」
移動中のクロウさんの胸の中から流れていく景色を見るけど、
変わらぬ赤い月に照らされた田園風景が続いている。
「なんでですか?」
「管理人の仕事ついでに見てきたんだ、アンタの家…」
「私の…家?
あの!どうなっていました?…まだ4日くらいしか経ってないから…
あんまり変わりないとは思いますけど……」
「そうだね、嘘偽りなくアンタに伝えるなら……
知らない奴らが住んでたよ。」
「え?…たった4日くらいで…それは……」
半信半疑な私。
「何も言わずに鍵を変えた奴らならやりかねないでしょ?
それからアンタ…家出人としてビラ撒かれてたよ?」
「(´⊙ω⊙`)え?」
「人目を気にしての…一応だろうね。
人間ってのは…驚くほど悪知恵が働く時があるから怖い。」