第51章 妖怪から見捨てられた人間の成れの果て
神
「すっかり…あの人の子に騙されてしまった…」
「申し訳…ありま……」
神
「良いんだ…久しぶりにドキドキさせてもらった。
そう言えば…人間界の神をやっていた時は…よく人間に騙されいたよ。」
「騙されていた…?」
神
「あぁ…。
人間界の神をやっていた時は、土地神をしていた。
私が受け持っていた村の人間は信仰心があつくてな、
豊作の時も不作の時も村人はいつもお参りに来た……
だから私は、その村が大好きで出来る限りの手助けをしていたのだけど、
でもある日…村に…ちと癖の悪い人間が来たのだ。
なんて言ったかな…占い師と言ったか……
その占い師が、不作が続いていた村人に…
"若い人間の娘"を神に捧げれば、豊作に恵まれると助言をしたのだ。」
「そんな馬鹿な…」
神
「馬鹿だろ?生け贄を捧げれば不作ではなくなるなんてな……
でも人間は弱い生き物だから…
当然言うことを聞くと思っていたのだが…村の人間は違和感じたのか
生きた娘を生け贄として捧げるのは可哀想と思い、
代わりに娘の吐息がかけられた人型の紙人間を献上してきたんだよ。」
「なるほど…人間の娘に見える呪術を人間は使用したのですね。」
神
「そうだ….。まぁ、少しの間だけしか呪術の効力はなかったけど。
人間は凄いね、誰かを守る為に神の目さえ誤魔化してしまう知識も…
根性もあるのだから………」
「…………」
神
「あの娘を怒らないでやってくれ…必死だったんだよ。
それとそこの狼男……連れて帰って良いぞ…代償は身体で支払ってもらったからな……もういらぬ。」
「!!」