第7章 ☆Story5☆ 溢れる恋心
ゆりとタイスケが立ち去り…
百合はバッグから顔を出した。
「……。」
『太輔……』
「っ百合……俺は、俺は……間違っているのか?」
『……間違っていると言えば、間違ってる。
間違ってないと言えば、間違っていない……。』
「どういう、意味だよ……。」
『太輔の、気持ちも凄くわかるよ。親としてならね……
それに、私も人のこと言えないしねぇ……』
「自覚、してたんだな……変に、好きでもない奴に期待を持たせるんだから……」
『……でも、一番はゆりの意見を尊重しなきゃ……』
「っわかってる……わかってる、それくらい……でも、」
『心配なんだよね……』
「あぁ……」
『ある意味、太輔は親として正しいよ。
娘には、ちゃんとした人と付き合ってもらいたいって思うし……うちの親が、
オープン過ぎてたもんね……普通なら、
今の太輔みたいに反対されてもおかしくなかった……』
「学生と、教師だもんな……」
『太輔も、もしゆりの好きな人、付き合っている人が担任の先生とかだったら……
どうする?
「先生と、付き合ってる」なんて言ってきたら……』
「……すぐには、受け入れられない……もしかしたら、
別れろって、言うかもな……お互いの、立場のためにも……」
『……そっか。』
「……矛盾、しているか?」
『あくまで、それは太輔の意見……お父さんの意見とは違う。
矛盾は、それほどしてないんじゃないかな……でも、』
「でも?」
『もし親が別れろって言って、親の言う通り、別れたら……
別れた本人たちはどう思う?』
「っ……」
『きっと、悲しむ……私たちもそうなっていたと思う……ずっと、
引きずっていくと思う……
だから、私は……』
「……。」
『ゆり自身に、決めさせる。
いくら親でも……子供の幸せを左右させることは、ダメだと思う……。
自分が幸せだと思ったなら、それを信じる……私は、そうでありたい……』
「っ百合……」
『だから、私はゆりが誰と付き合おうと文句は言わない。
藤ヶ谷くんでも、さっきの三船くんでも……他の人でも……ゆりが、
選んだ相手だもの……』