第19章 ☆Story17☆ 二人きりの夏祭りデート
「っ……いや、これは……」
憲吾は横に視線をずらした。
「なんか、麻紐っぽいですね……何かつけてるんですか?」
「っ……」
憲吾は少し頬を染めながら、ゆりが気になったものを服から出した。
そしてそれをゆりに見せた。
「……っ!
この、貝殻って……」
「っ……あぁ、昨日……君にもらった貝殻だ……」
「っ……」
(っわざわざ、ネックレスにしてくれたの……?)
ゆりは目をパチクリさせた。
「っ……あのままだと、どこかに放置してしまいそうでな……
吾郎に相談して、麻紐を通したんだ……」
「っ……すごく、嬉しいです(微笑)
実は私も!」
「……?」
ゆりは巾着からあるものを出した。
「これ……」
「っ……!」
「実は、私も昨日きりで穴を開けてチェーンを通したんです……
まさか、2人揃ってネックレスにするなんて凄い偶然ですね(微笑)」
ゆりが巾着から出したものは昨日拾った桜色の貝殻をチェーンに通したものだった。
「っ……」
憲吾も驚いたようですっかり無言になっていた。
「せっかくだから私も付けちゃお……」
そう言うとゆりは貝殻のネックレスを首からさげた。
「ふふっ……」
(大事なネックレス、またひとつ増えちゃった……)
ゆりは母の形見のネックレスを見てそう思うのだった。
「っ……似合って、るな……」
「ぇ……」
「浴衣と、凄く合ってると思う……」
憲吾は視線をずらしながら小さく呟いた。
「っ……///」
ゆりはすっかり顔を赤くさせた。
「っ……もう少しで、本格的に屋台が始まるな……」
「っ……そう、ですね……三船さんは、夏祭りとかには来たりするんですか?」
「っいや……俺はほとんど来たことはない……」
「私も……本当に小さい時にパパたちと行ったきりなんです……」
「そうか……久しぶり、なのか……」
「はい……でもなんで、私を花火大会に誘ってくれたんですか?」
「っ……それ、は……」