第34章 ep34 君の隣で同じ景色を見る
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季節は幾度となく巡り、何年もの月日が流れ、再び春が巡ってくる。
桜の花がこの町のあちこちで咲き誇るのを、
この階段から見下ろす二つの影・・・・・・・・
「久しぶりね、ここに来るの」
「あそこの本屋、覚えてる?まだやってんだね」
「ほんとだ!ねぇ、意外とあんまり変わらなくて、ホッとするなぁ」
「そうだね・・・でも、この町も、俺達も、同じ時間は1度も過ごしてないよ・・・」
「うん。あれから、楽しいことも、しんどいことも、不安になるようなことも、沢山あったけど・・・」
2人はお互いを見合わせた・・・
繋いだ手の中で"彼女"の左手の薬指の輝きが、
春の暖かい日差しによって一層美しさを増した。
お互いがお互いを信じ合い、想い合い、支え合い、そして夢を叶えた時に彼から渡した誓いの環だった。
「また、この景色を見られて良かった」
お前と・・・
あなたと・・・
これからも、隣で、同じ景色を見ていく・・・・・・
END