第2章 出会い
私は子供の頃から祖母によく言われていたことがある。
"妖とは絶対に関わるな"
妖、つまり妖怪とは関わってはいけない。
当時、私はなんの疑問も持たず「はい。おばあさま」と返事をしていた。
しかし、高校2年の冬。何気なくとった行動で、まさか私の人生が一変してしまうとは思いもしなかった。
そう、それは冷たい雨が降りしきる日だった。
学校からの帰り道、私は弓道部の片付けで遅くなってしまい家路を急いでいた。
(ヤバイ…もうこんな時間…)
間もなく自宅につくといったところで、何かが道端にいるのに気付いた。
それは近付くにつれハッキリとその形が見え、千音は軽く息を飲んだ。
「小狐…、なんで小狐がこんなところに…?」
よく見ると所々怪我をしているようで、このままでは危ないかもしれない。そう思い小狐を抱えて帰宅し手当てをしたのだ。
そして、これが全ての始まりでありこれまでの日常が終わりを告げた瞬間だった。