第10章 暗い月夜
イタチsaid
「姉さん!!」
「?...ツバキ?!」
「姉さん!!」
俺の声に反応するように父と、玄関で此方の様子を伺っていたサスケが駆け寄ってくる。
「兄さん、姉さんどうしちゃったの?!」
顔を真っ青にさせて此方を見てくる弟に顔を向ける。
「サスケ、これから姉さんを運ぶ、布団の用意をしてくれるか?」
「!、うん!任せて!」
返事をして家の中へ走って行く弟の後ろ姿を見送り、姉さんの体をソッと起こして抱き上げる、
「?、」
顔を見ると、頬が少し赤くなり、荒い息を繰り返している。
「...熱があるな」
それに気づいた父が、姉さんの額に手を当て、小さく呟いた。
「...ミコトを呼んでくる。お前はそのままツバキを布団へ運べ」
父の言葉に素直に首を縦に振り、家の中へ歩き出した。
姉さんが体調を崩すのは珍しい...
最近、色々あったからだろうか?
暗殺任務や、色の任務、一族での嫌な空気、それに加え、今さっき知らされたシスイの死...
そのせいで、保っていた何かがプツリと切れて、それが発熱という形で表れた...
「...すまない、姉さん、」
シスイを殺したのは...
部屋に入ると、サスケがせっせっと布団を広げて枕を置いているところだった。
「姉さん、大丈夫なの?」
俺の顔を不安そうに覗き混んでくる弟を安心させるように頭を撫でた
「ただの風邪だ」
「...でも、姉さんは風邪なんて中々引かないよ?何かあったんじゃ..」
いつかは知ることになるが、サスケはまだ、シスイが死んだことを知らない。
「...姉さんだって、風邪を引くことだってある」
「...疲れてるのかな..姉さん」
苦しそうに顔を歪めている姉の手を布団の中から探しだし、ギュッと握るサスケ
「..そうだな...」
純粋な弟の問いに、俺はそう答えることしかできなかった。
イタチsaid end