第3章 秘密の関係
「紗奈、新しいお父さんよ」
「宜しくね! 紗奈ちゃん♪」
母が連れてきたのは、お父さんと言うよりお兄さんと表現した方がピンとくる。
そんな人だった。
最初は本当に、絵に描いたような家族だった。
それが壊れてしまったのは、母の仕事が忙しく帰りが遅くなると言っていたあの日。
夕食を済ませ、お酒を呑んでいるあの人を横目に食器を片していた。
「紗奈ちゃん、お風呂先に入ってきなよ」
「食器洗ったら入ります」
「僕がやっとくから! たまにはゆっくりしてきな?」
「それじゃ……お願いします」
あの人の言葉に甘え風呂場へ向かった。