第1章 家に帰るとイケメンがいた
「えっ、あの、誘拐!? 私が!!?」
彼の黒い瞳がギラリと光を放つ。
「いやいやいやいや!! やってないよ!! 私も今帰ってきたばっかりだし」
むしろあなたの方が不法侵入なのでは?
そう思ったけど、彼の放つドス黒いオーラの前でそんなことを言えるはずもなく。
「だったら、俺が知らねー部屋で目を覚ました理由を説明してみろよ。ここ、お前ん家なんだろ?」
ゆらりゆらりと近寄る彼に、私は身を固める。
いや、知りませんて、あなた様がここにいる理由とか。
むしろ私が知りたいくらいだわ!!
なんて思ってれば、彼はすぐ目の前まできて。
スッと伸ばされた角張った腕に、ゾワリと本能的な恐怖を感じた私は。
「やっ!!!」
反射的に膝を蹴り上げた。
「うっ!?」
彼の股間へとめり込む私の膝。
彼はその瞳をかっぴらいたかと思うと、その場に倒れふした。