第53章 【ツンデレ】×【告白】
もし、もしも。好きだと言ったらこの人はどんな反応をするのだろう。
友達としてしか見られないって言われてしまうかも知れない。嫌がられるかもしれない。
「蒼依、」
「…何だよ。」
蒼依はいつも素っ気ない。冷たいって言うのかな。
それに、私への当たりが強い気がする。…だけど優しいところもある。
そんな人をいつの間にか、私は好きになってしまっていた。
自分でも不思議だ。
「…なんでもない。」
ああ、怖いなぁ。我儘だけど、関係が崩れるのは。
―でも、あれ?
私達の関係って何だろう。
友達、なのかな?
考えれば考えるほど分からなくなる。
「…私と蒼依って友達かな?」
って、何聞いてんだろ。私。
蒼依はというと、驚いた顔でこっちを見ていた。
「……は?」
突然そんなことを聞かれたら、誰だって驚く。
私の方も、勢いでそんな事を聞いてしまった自分に驚いていた。
「ごめん。やっぱり聞かなかったことにして。」
急いで質問を撤回する。
撤回したはずだったのに。蒼依はずっと考えていたみたいで。
「…友達、か?」
と、暫くして突然言い出した。
一瞬なんのことか分からなくて。でもすぐに分かって。
「考えててくれたの?」
考えてくれたのが嬉しくて少し頬が緩んでしまう。
「…お前が変な事言うからだろ。ばか、」
「そうだね、ごめん。」
ほんと、変なことだ。関係が分からないなんて。
「ありがと、」
友達…か。嬉しいような、複雑なような。
でも告白して振られて、話しづらくなって友達と呼べなくなるのは嫌だ。
そんな関係じゃなくなってしまう原因は、きっとそれだけじゃない。