第49章 【年下】×【生意気】
「…俺があんたの事好きだって言ったら、どうする?」
隣に住んでいる年下の子から突然そう言われた。
そんなこと全然考えたことも無くて、その日は何も答えることが出来なかった。
「……。」
本気なのかも、からかわれているのかも分からない。
普段はそういう時もあるけど、でもあの時はそんな風には見えなかった。
考えれば考える程、自分の気持ちもわからなくなる。
「雨衣?」
「ん?」
「さっきからぼーっとしてるけど…どうかした?私で良ければ相談に乗るよ?」
「……うん。」
話そうか迷って、結局話すことにした。
さすがに告白されたことは言えないけど。
「自分の気持ちが分からない?」
「考えれば考えるほど私自身がどう思ってるのか分からなくて。」
私は、蒼依くんのことをどう思っているのだろう。
「好きなんじゃないの?」
「え、」
「だって、その年下くんの話すごく嬉しそうに話すし。見てると何となくそんな感じ。」
「?」
その言葉に、頭が追い付かない。
「じゃあさ、もしその年下くんと知らない女の人が付き合うことになったらどう思う?」
ぼんやりと考えてみる。
「うーん…よく分からないかも。」
上手く想像がつかなくて、分からないまま友達と別れた。
帰る途中で、蒼依くんを見つけた。
蒼依くんは知らない女の人と居た。
その姿を見ていると、なぜか胸が苦しくなった。
近くのコンビニへ寄ってから家へ向かうと、家の前で蒼依くんに会った。
今度は1人で。
「…あ。」
「久しぶり…でもないか。」
返事も出来てないのと、さっきのことがあり気まずい。
「あのさ。」
「そろそろ返事聞かせてよ。あんまり待てないんだけど?」
このままじゃダメだ。
「…分からない。ごめんなさい、」