第37章 【我儘王子】×【真面目女執事】
「…私、は」
きっともう、手遅れだ。
「貴方のことが…好きです。」
その言葉に、王子は安心したように微笑んだ。
「また…秘密、出来ちゃいましたね。」
そう言った瞬間、何かがそっと私の頬に触れた。
王子を見ると、とても真っ赤な顔をしていた。
そんな王子が可愛くて、つい ふふっと笑ってしまう。
「何笑ってるの。」
「真っ赤になった蒼依様が、可愛くて。」
「…はぁ…」
少し怒った王子に腕を引き寄せられ、今度は唇に触れられる。
それが離れると、王子は悪戯っぽい笑みを浮かべて私に言った。
「…俺からしてみれば、雨衣の方が可愛いけど。」
その言葉に、今度は私の顔が赤くなっていくのが分かった。
「―それと、いつもの硬い顔よりそっちの方が断然良い。
…俺の前ではそういう表情、もっと見せてよ。」
王子は…ワガママだ。
でも私は、そのワガママを断る事は出来ない。