第4章 【先輩】×【失恋】
ぐす、ぐす、と鼻水を啜る音が静かな教室に響き渡る。
自分でも、凄く情けなく感じた。
「雨衣ちゃん?」
ふと、優しい声が聞こえて振り返る。
「大丈夫?」
そこにはいつも元気な空先輩が珍しく悲しそうな表情で立っていた。
「なんて、大丈夫じゃないかな。」
「友達から聞いたんだ。アイツに振られて泣いてるって…。」
空先輩は、私の隣の席に座って私の頭をくしゃりと撫でた。
「俺、好きな子が居るんだ。」
いきなり、この先輩は何を言うんだ。
「…優しくて、可愛くて。」
「好きな人には尽くす人で。それが重いなんて言われたり。」
「ただ尽くしたいだけなのにね。」
「俺は、君のそういう所が好きだよ。」
先輩は私のおでこへキスをすると、ぎゅっと抱きしめる。
「ねぇ、…泣きたい時は泣いていいんだよ?」