第35章 【初恋】×【10年後】
「…あれ。」
折角の休日だし、どこかにでも出掛けようかな。なんて、考えながら、
自分の服を整理していると、
かたん、と何かが落ちる音がした。
小さなアルバムだった。
「アルバム…?」
開いてみれば、懐かしい写真が沢山入っていた。
「これ…。」
幸せそうな笑顔の私と一緒に写っているのは、大好きだった人。
空くん。もちろん、今でも好きだ。
『絶対、迎えに来るから。』
そう言って、どこか遠くへ行ってしまった人。
空くんは元気にしているだろうか。
今でもずっと、私は待ち続けている。
「今日、何日だっけ。」
スマホで日付を確認する。
「…そっか。」
――もう、あの日から10年も経ってしまったんだ。
離れてしまったあの日と、今日は同じ日付だった。
「よし!」
10年後のこの日にアルバムを偶然見つけるなんて、
もしかしたら、今日は何か良い事がありそうだ。
折角だし今日は、2人で過ごした思い出の場所へ行こう。とそう決めた。
急ぎで着替えて外へ出る。外は結構天気が良くて、暖かい。
「…んー」
まずは公園にでも行こうかな。あそこに行けば、また何か思い出すかもしれない。
「懐かしいなぁ…。」
公園が見えてくる。歩きながら、自然と色んな事を思い出す。
いつも幼稚園から帰ってくると、その後は公園で遊んでいた。
少しだけ、大きな公園。大きくなると行かなくなってしまったけれど、
そこでするお花屋さんごっこが大好きだった。
『なににしますかー?』
『わたし、ひまわりほしい!』
なんて言って、遊んでた。私は大好きな絵本で出てくるひまわりが大好きで、
毎回、店員さんをしてた空くんに、ひまわりくださいってお願いしてたんだっけ。
空くんはいつも、
その後家に帰ると、紙にひまわりの絵を描いて、ブレゼントしてくれた。
あの頃は、毎日がすごく楽しかった。
そんな事を考えながら、公園の横を通る。
中では子供達が、元気に遊んでいた。