第3章 力
予約は潤がしてくれた
改めてあの子のページを見てみると
衝撃は更に倍で…
NG項目が無かったんだ
タチとかウケとかの専門用語の意味を知って目眩がした
男役も女役も
ソフトとは言えどもSMもやるって…
どうしてその仕事を選んだのか
ノーマルなら本当はこんな事したくないんじゃないのか
聞きたい事は山程ある
だけど[当店を初めてご利用される方へ]というページに書かれている沢山の禁止事項の中に
“ボーイの連絡先やプライベートを詮索する行為”
がある
『あくまでも、会って話して自分の気持ちを確かめる。
それが目的だからな?』
潤は心配してたけど
その位わかってるよ
予約が完了した時点では会える事が楽しみで仕方なかったのに
今はなんだかとてもブルーだ
俺がこれからしようとしている事に
果たして意味なんてあるのかな
予約は二日後の夜21時から一時間
あの子の一時間を俺は金で買うんだ
そう思えば心はやっぱり落ち着かない
燻ったままの想いはどっち付かずで
堂々巡りのまま答えなんて出なかった
たった一時間
されど一時間
その間に
俺はあの子をどれだけ知る事が出来るんだろうか…