第11章 恋人
「……くん、 まーくん」
「へ…?」
時間にしてほんの数秒だろうけど
意識が飛んでいたんだと思う
頭はボーッとしていて
それでいてふわふわして気持ちよくて
雲の上にいるみたいな、そんな感覚で
「大丈夫?」
「あ… うん、」
「悔しいから本気出しちゃった」
あぁ… されたことあるって俺が言ったから。
あるにはあるけど、そもそも数えられるくらいしかないし
口でイカされたのは初めてだし
「これって嫉妬なのかな」
カズくんがクスッと笑う
こんな上級テクニック付けられる位経験積んでるって事の方がよっぽど妬いちゃうよ…
「気持ち良かった?」
「凄かった…」
「でも、ね…?」
「…?」
「ここからが本番だよ」
天国への階段は
まだ一、二歩しか登っていないらしかった
さっきイッたばかりなのにもう復活し始めてる俺の俺と
まだ一度もイッていなくてMAXなカズくんのカズくん…
俺のモノにしたいけど
カズくんが欲しいけど
世界一優しく、なんて…俺、出来るのかな
「準備はしてあるから、」
「準備…?」
「まーくんに抱かれる準備。
男同士のセックスはね、色々と事前準備が必要なんだよ」