第2章 車内にて。
私も壮五くんも、止めようかどうするかと目線を合わせたところで
「あーもー!りっくんもいおりんもうるさい。」と、環が声をあげた。マンガを読む自分の両隣で言い合いをされているんだから、当然といえば当然の反応だ。
「りっくんは、子犬みたいでいーじゃん。可愛いって事だろ?」
「え、そ....そうかな」
「いおりんは、可愛いものが好きなんだし褒められてんじゃん。」
「四葉さん!適当な事言わないでください!」
「適当じゃねえし!この間学校帰りにゲーセン寄った時、でっかい猫のぬいぐるみのクレーンゲームずっと見てたじゃん!」
「あ、あれはぬいぐるみの大きさに驚いていただけで....!!!」
「環くん、一織くん。もうすぐテレビ局につくよ。」
突如私の隣から、背筋を凍らせるような冷たい声が響く。チラリと横目で隣を見ると、壮五くん満面の笑みが見えた。
やばい、怒ってる。
後ろに座る3人も、ただならぬ気配に気づいたのかそれきり黙り込んでしまった。
私は車の運転をしている為、後ろを振り返る事なく「今日も1日、頑張ってね。」と声をかけると「はい/うん/おう」と4人の返事が聞こえた。