第16章 博臣先輩の言葉の真意と私の涙の理由
私が目を覚ますとそこには焦ったような、心配そうな表情で私の顔を覗き込んでいる博臣先輩がいた。
そして……
「華菜、大丈夫か⁉︎」
そう言って博臣先輩は私に声を掛けた。
「博臣、先輩……? ……どうして、私、保健室なんかに……?」
そう呟きながら身体を起こすと、ズキリと少し頭が痛んだ。
「無理をするな。 秋人からは"部室に向う途中でお前が階段から落ちた"って聞かされた」
「階段、から……?」
「あぁ……」
博臣先輩からそう言われ、部室に向う途中のことを思い出そうと頭を働かした。
(確か放課後、神原秋人と部室に向かおうとしていて……)
そこまでは思い出せたけどその後のことは思い出せないや……
だけどあの時……
「確か、誰かが私を……」
「何か思い出したのか?」
「いえ。 深くは覚えていないんですが、あの時誰かに背中を押された気がして……」
そう言いながら部室に向う途中の出来事を思い返した。