第104章 夏の大三角(12)殿様ゲーム編
一周回った殿様ゲーム。
「次は大会後に、更に過激な内容で行う。……楽しみにしておけ」
織田先生の次回開催予告後。
やっと終了した。
私は手で身体をゆらして、名前を呼ぶ。
「あ、れ?私……って!殿様ゲームは!?」
「もう終わっちゃったよ」
ムクッと起き上がった、ゆっちゃんに色々大変だったんだよ!と、抱きつくすぐ後ろで、
「……まだ、やるってことか」
「しかも更に過激。喜んで良いものか悪いものかわかりませんね」
「……疲れた」
三人が広間から出て行くのを感じて、きゅっと唇を噛み……。
何で、こんなに緊張して……。
「ひまり?どうしたの?」
私はもう一度、
ゆっちゃんの胸に顔を押し付けた後。
立ち上がって。
手を伸ばした。
きゅっ。
Tシャツの裾を掴んで……
「ひまり」
「ひまり先輩……」
政宗と三成くんが私を呼ぶ。
その声はちゃんと聞こえてる。
聞こえてるんだけど……
「ひまり……?」
俯いている私の一番近くで、
聞こえた家康の声。
言わなきゃ。
ちゃんと、言わなきゃ。
「あ、りがと……」
私の
その、たった一言が震える。
そして、
「別に。特に命令したい事とか、無かったし」
家康には
それだけで、伝わった。
俯いてたから、
ゆっちゃんが、
政宗が、
三成くんが、
家康がどんな顔をしていたかは、
わからないけど……
私の顔は、誰にも見せれない。
そんな表情だった気がする。
ドキドキハラハラの
殿様ゲーム。
ーーでも、それだと家康が…っ!
ーーなら、その金平糖食べさせて。
ピンク色の金平糖は、
家康の口の中で……
ゆっくりと溶けていった。