第104章 夏の大三角(12)殿様ゲーム編
金平糖。
表面がデコボコした、
優しい味がする甘い砂糖菓子。
ピンク色が好きだった小さい頃。
お土産に貰うと、つい真っ先にその色ばっかり食べちゃって……。
気づいたら、袋の中からピンク色だけがなくなっていた。
そのバチが当たったのかな。
コロン。
手の平に一つ乗った、
小さな小さな金平糖。
コレを口移しで??
嘘だよね??
金平糖の口移し。
てっきり、殿様は除外だと思っていた。なのに……なのに……
「相手を選べ」
織田先生は、たまたまなのかピンク色の金平糖を選んで私に渡した。
ゆっちゃんは、まだ眠り姫状態。
素敵な夢を見てるみたいに、スヤスヤ寝息を立てて時折、寝返りを打っている。
そして、ついさっき姿を消した副部長。ハズレを引いて、怒って広間から出て行っちゃって。
完全にピンチ。
「私を指名して下さるなら、番号教えますよ?」
「俺にしとくか?」
三成くんと政宗。
「一気に入れるか、舌で愉しむか……」
「一瞬だから、そんな不安そうな顔するな」
明智先生と秀吉先輩。
「……………」
「選ばせてやる。番号を見るか、見ないか……」
さっきから無言の家康。
その近くで織田先生は、割り箸に書かれた番号が見えるか見えないかの部分を持つ。究極の選択をさせられて、私は手の平に乗った金平糖を、目を皿のようにして見つめる。
小さい。
何度見ても小さい。
(こんなの口移ししたら……)
キスするのと変わらないよ!
番号を知らないまま選ぶか……
番号を聞いて選ぶか……
どっちも、無理な時は
どうしたら良いの……っ!