第244章 天邪鬼の愛〜中紅花〜(31)時が繋がるルージュ編※R18
鏡に映るさまざまな表情、
真紅、紅赤、淡紅、ベビーピンク、コーラルピンク、ローズピンク
色味が違う六色のルージュ。
でも赤でもピンクでも少しずつ、少しずつ違って……発色はさまざま。
目には見えない心、
喜、怒、哀、楽、
愛(いとしみ)憎(にくしみ)
人の感情は六つが基本だって聞いた事があるけど……でも、それだけじゃない。
安心、不安、欲望、期待、感謝、後悔もあるし、好奇心とか勇気とか、恥ずかしさだって、他にも沢山ある。
表情も色も感情も数え切れないぐらい沢山あって、色んな人がいて、色んな出来事がある。
コンコンッ。
「ひまり?体調、大丈夫?」
扉越しの気配を気にして、
「ンンッ……ンッ……」
必死に塞ぐ中紅花に染まった唇。
涙がいっぱい瞳から溢れて、真っ赤に火照り出す身体。
「声、聴こえても良いの?」
鏡越しに映る姿に胸が焦がれる。
愛しい人の想いかたも、待ちかただって……女の子一人一人が違って。
「大事にさせて」
愛する人への愛しかただって受け取りかただって……人はそれぞれ違う。
それは時が違っても……
平和な世でも、乱れた世でも
現代でも戦国でも、きっと同じ……
姿形が変わっても、心は変わらない。
それを鏡は、知っていたかも……。