第2章 red
「ほら、見て!なんと期間限定のクッキー&クリーム味が出たんです!ちゃんのために買ってきたんだ」
なんて、凄く頑張って
私を盛り上げようとしてくれる翔くん。
だけど私が食べたかったのは
「…それじゃないよ、
バニラのやつが良かったのに…」
「う、うん、あれマジで旨いよね」
わかっているのなら何故わざわざ
そちらを買ってきたのだろう。
私がソレを言わずとも
翔くんは読み取ったみたいで。
「いや、つい興味本意で」
なんて本音を漏らすと
翔くんが新登場のアイスを開け始め
食べやすいサイズにしたものを
私に「あーん」を催促するように
口を開けさせる。
まだ怒っていたはずなのに
彼にされるがまま口を開けた。
「…翔くん、美味しい」
「マジ?良かった~!…食ってい?」
「はい、どうぞ」
翔くんが自分の口にもソレを入れると
味わう時間なんてないくらい早くに
「うまっ」と口を押さえた。
「ちゃんと食べると
いつもよりおいしく感じるのは何でだろう」
と真面目な顔して私に問う彼に
思わず笑ってしまった。
翔くんの突発的な一言は
いつも私を嬉しくさせる魔法の言葉。
END.
「じゃあパクチーも食べれるかな」
「それだけは勘弁して下さい」