第5章 purple
彼女のマンションについて
インターフォンを押した。
寝巻きの彼女が出てきて
「どうしたの?」と驚いた顔で
俺を見る。
扉を閉めて
2人の世界。
彼女を引き寄せると
まだ乾ききっていない髪の毛から
シャンプーのいい香りがした。
「付き合ってるうちは
不安な気持ちになるもんだね」
それは仕方のないこと。
どうやっても無くならない気持ち。
「…松本、くん?」
また意味のわからないことを
言ってしまった。
「…さん、
亮介さんは後悔してるよ」
「…え?」
「あの人は、ちゃんと
さんのこと想ってた。」
さんが
亮介さんのことを思い出す理由、
あの日、何もなかったと泣いた理由、
それはまだ
さんの中で
ちゃんと亮介さんが
終わってないからだよね?
「松本くん、どういう意味?」
「亮介さんと飲んできたんだ」
「…何言われたの?」
「何も。亮介さん、
指輪つけてないの気づいてた?」
「…うん」
「さんのため、なんだよ」
その言葉に彼女が俺を睨み付けるように
眉をひそめた。
その目にはうっすら光るものがある。
「…松本くん、
さっきから言いたいことが
わからないよ」
俺もだ。
自分が何をしたいのか
わからない。
「昔出来なかったこと、
今なら出来るチャンスだよ。
まだ間に合う、」
「出来なかったことなんて、ない!
私は今のままで「さん、」