第1章 blue
ぐう、と私のお腹の虫がなる。
あ、お腹の空いたな
と思った瞬間
「はい!」と智くんが手を挙げた。
「どうしました智く」
「オイラを食べろ!」
「…………、」
「食べろ!」
珍しい智くんの勢いに
私の脳が追いつかない。
「…いや、あの、何事ですか智さん」
「だから、オイラ、いますけど」
なに、なんなの?どういう遊び?
「…食べろ、とは」
「美味しく食べろ」
いや違う、違うよ智くん
キャラがまるで違う。
両手を広げ、方膝ついて王子さまポーズ。
顔はきめているのか、いないのか
笑っていいのか、いけないのか。
「け、結構です」
「ちぇ」と舌打ちして笑う彼に
今日も平和だなあ、と
背を向け晩御飯を作り始める私。
智くんは意外と
私をいじめて楽しんでいる、と思う。
(カレーにらっきょう添えてやる)
END.
「ねえ、何食べんの?」
「うん、カレーにしようかな」
「え、何?カレーとサトシ?」
「うん、カレーとライスね」