第5章 purple
「おかゆは!?いや、ゼリーか!
よし、ここは張り切って離乳食にする!?」
「…わかった、わかったから
とりあえず落ち着いて…」
「あ、うん、ごめん」
「…なんでそんなに俺がキツそうだと
テンション変わるの?S?貴方実はSなの?」
「いや、違うの、
ほんと、いたってN!」
いけない、私ってば
母性本能の空回り。
松本くんがダルそうな顔をした。
「あ、ごめん、うるさいね」
大体、体調悪い人を見て
テンション上げるって
どんだけ最低なの私。
ちゃんとしなくちゃ、
歳上なんだから。
自分を戒めていると
気だるそうな彼が
私に近づいて左肩に額を乗せた。
「…………あのう、松本さ」
「…死にそう」
「ええ!?そんなに!?
ご、ごごごめん!
甘える松本くんが見れるかなあと思って
テンション上がったりして!」
「……違うよ」
そう言った彼がまた言葉を付け加える。
「あなたのことが、好きすぎて」と
私の首筋にキスをした。
END.
「…ま、松本くんって
具合悪いと激甘になるよね」
「足りないなら、毎日でもいいけど?」
「…だ、大丈夫です!間に合ってます!」