第5章 purple

「…うん、」

「…もうとっくに終わった人なんだけど
　まだ胸に引っかかったままで」

「うん」




松本くんにとってはどうでもいい話なのに
きちんと私の目を見て聞いてくれる。




意外と乙女なんだよ、とふざけると
うん、知ってると優しい言葉で返された。








「…松本くんが思うよりも子供で
　わがままで、かっこいい女の要素なんて
　なんにもない」


だから年上の出来る女を期待されても



「だから、傍にいたいんだ」










松本くんの、だから、の意味が
わからない。


そんな女のどこがいいの。














「要は俺が
　さんを夢中にさせれば
　いい話でしょ?」


首をかしげて、自信ありげに言う彼。



「…なんでそんな強気かなあ」


あの人を思い出して沈んでいた気持ちが
松本くんのお陰でホッコリする。














「さん、
　今日、泊まっていい?」
といつもの確認をする彼。



松本くんは泊まっても
私に一切触れたりしない。





それは彼なりの
ケジメなのかもしれないと
また年下の男らしさを感じる。














松本くんになら

溺れてもいいじゃない。










年下だからなんだって?





そんなのこっちが
メロメロにさせればいいんだ。
そんな簡単な話。








「…いいよ」







年下男子との長い恋愛バトル、
挑戦状に受けて立つ。











END.












「…?」
「…え!?」
「あっはは、呼んでみただけだって」
「え!?あ、ああ、うん。
　(…やばい、全く勝てる気がしない)」