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君と紡ぐ100のお題

第4章 yellow








助手席に乗る
彼女の様子がおかしい。


「出掛けるよ」と言ったら目を輝かせて
車の中ではソワソワソワソワ。



わかってる、今日は付き合って
2年目の記念日。

でもって
わざとわかってないフリしてる私。


え?なに?意地悪だって?
ああ、誉め言葉ですね。





助手席で急に「カズくん、」と呼ばれ
運転しながら「なに」と
視線だけを彼女に向ける。

「…や、なんでもない」
と白いマフラーに鼻から下を隠す。




にやけているのがバレバレだ。


それでもまた、知らないフリして
「あ、そう?」としらばっくれる私。




また沈黙になると
彼女はソワソワソワソワ。







気になって運転に集中できなかったから
「ステイ」と犬にするように注意した。




「す、ステイ…」と初めての掛け声に
驚く彼女の百面相に
「なんなの、あなた」
と思わず笑いが漏れてしまう。



私の反応にホッとしたのか
へら、といつもの気の抜ける笑い方。




「カズくん、どこ行くの?」

「え?どこって、どこも」

「え!?」



うん、本当に。
嘘じゃなくて、予定は、ない。




「え?何?どこか行きたかった?」

「あ、…いや、どこも…」

「あ、じゃあタバコ買っていい?」

「う、うん」

「暖かいコーヒー買って帰ろっか」

「…うん」





明かにガッカリしていて。
やっぱり私にはこういうの向いていない。

なんだか期待させてしまったようだ。









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