第1章 blue
私は智くんが
何かに夢中になっている姿を見ては
ひとり遊びを始める。
「...♪~」
私が自然に鼻歌を歌い始めると
しばらくして私の鼻歌に重ねるように
智くんの鼻歌が重なる。
「~♪」
私が終わっても
智くんはそれに気づかず歌い続ける。
彼は気づいていないけど
人の鼻歌に違う鼻歌を混ぜるのは
智くんの癖だと思う。
ほら今日もまた
ぴったり一致しない音を
二人だけで奏でる。
それは私だけが知る
特別なメロディー。
END.
「ちゃんっていつもカエルの歌歌ってる」
「智くん...アレは私なりの猫ふんじゃった、なんですが」