第4章 yellow
音にするなら
ズルズルズル、とでもいうような
そんな歩き方。
「…にの、みやくん?」
「…たーだいま」
明らかに様子がおかしい彼に
何があったのだろうと不安になる。
「…あ、えっと、」
私が何かを伝えようと口を開くと
そのまま私の肩に彼の体重がかかる。
「………」
「……、」
そのまま無言の彼の腕にそっと触れる。
「…長かった」
ポソッと呟く言葉が余りにも
小さすぎてこれだけ近くにいても
聞き取りにくい。
「え?」
「…寂しかった、」
「…んだと思う、私」
そんな自分の気持ちを
客観的に言ってしまう
彼の素直な胸の奥に宿る
「寂しい」の気持ち。
「…私も」と私が言う前に顔を上げ、
ふいっと傍を離れる
後ろを向いた二宮くんの耳が赤いのを見て
「二宮くん」
と呼び掛けた。
なかなかこちらを見ない彼の背中に
そっと近づいて
「寂しかったから
ハンバーグいっぱい作ったよ」
と抱きついてみる。
少しして
ふふ、っと笑った彼が
「またハンバーグ?」と
いつもみたいに嫌みを言った。
END.
「名付けて
しくしくしく、涙の味は恋の味ハンバーグ」
「うっわ、すっげえ微妙!」