第4章 yellow
「どうしたの二宮くん」
「どうしたのってあなた、」
私が首をかしげると
ぶっちょうずらの理由がわかる。
「…なんなのこの衣装」
と言う彼は全身犬のキグルミで覆われていて。
「…な、ナイスです」
あまりの可愛さに
グッと親指を立ててみる。
「なんでプライベートでも
こんなわけのわからないもの
着させらんなきゃならないの」
「似合ってるよ物凄く」
「やるならもっとカッコいいのがいい」
コスプレには前向きなの?
と心の中で笑ってしまった。
「たとえば?」
「ドラキュラとか」
「あーその手が!」
「こんなんじゃの血吸えない」
可愛い恰好して、悪戯な顔をする。
よ、よかった…ワンコで良かった。
「あ、今ホッとしてる?
こんなバカみたいな格好だから
ホッとした?」
「え!」
なんでわかりましたのですか。
て、あまりの動揺で
心の中でも日本語おかしくなる。
「だから甘いんだよ」
と私に近づく二宮くんが
歯を見せずに笑う。
「激しいのはお好きですか、ご主人様」
こんなに可愛いワンコが
狂犬に変わるなんて
まさか思ってもみなかった。
END.
「ねえナースはナース」
「え、私ですか?!」
「いや、エプロンもありだな」
「二宮くん…楽しんでます?」
「あー悔しい!
なんでこんな楽しいイベントに
気づかなかったの私!」