第3章 gleen
「雅紀くん…甘えたさんだな」
私が何気なく言ったそれに
さっきまで私を離さなかった彼の腕が緩む。
「…ち、違います」
まさか離してくれるとは。
予想外の彼の反応に驚いた。
「違う、の?」
どんな体勢も取れるようになった私が
寝返りをうって、彼の方を向く。
「違う、」
眉間にシワを寄せて
口をへの時に曲げる彼が
ちゃんが喜ぶから、
と言った。
「…雅紀くんがしたいんじゃなくて?」
「……」
「…私だけがされたいの?」
「……」
「なあんだ、一緒かと思っ」
話の途中で今度は後ろからではなく
向かい合う形で引き寄せられ
さっきまであった彼との距離が
一気に無くなる。
「………やっぱ、我慢、できないね」
「………ふふ、甘えん坊」
「もう、なんでもいーや」
ふふ、と笑った彼が私の頭にアゴをのせ
私も彼の背中に腕を回した。
「さっき…こう、したかったの」
「…離れるのかと思った」
「うんん、もっとくっつきたかっただけ」
腕に力を込めると、
同じ分だけ返ってくる。
雅紀くんは離れたくなくて
私はもっとくっつきたくて
結局想っていたのは
同じこと。
END.
「もっとくっつく方法、教えよっか?」