第2章 red
皆も帰った楽屋で
彼と2人きりになって
「じゃあ私たちも」と腰をあげる。
今から帰るというのに
急に彼が話始めて。
「さっき髪触らせたよね」
いつもとは違う声のトーンに
上手く聞き取れなくて。
「え?どうしたの?」
と聞き返してしまった。
「どうしたの?じゃないよ」と
近寄る彼の目が始めて見る
高圧的な視線で。
「…しょ、翔、くん?」
「…どうやって触らせた?」
と私の髪の毛にゆっくりと
指先で撫でるように触れ始め。
その視線と指の動きに
何故かドキドキが止まらなくて。
「いっつも優しいわけじゃないよ、俺」
そう言った彼が
私の首根っこを掴むようにして
力強く自分のもとへ引き寄せると
そのまま唇が重ねられて。
そんな荒っぽい彼は始めてで
つい「…ん、」と声が漏れると
離れた彼の甘い吐息が微かに笑う。
「…どうして欲しい?」
ん?と愉しそうに私を見つめ
首を傾げる彼が
「俺にヤキモチ妬かせた、罰」
そう言ってまた私に深いキスを落とす。
END.
「…なあんだ、荒っぽいのも好きなの?」
「ち、ちが」
「…こんなんなってんのに?」