第6章 後輩ー翔②ー
俺に憧れて事務所に入ってきた風磨
頭が良くて機転もきく
人懐っこくて
素直に 可愛いヤツだと思ってた
メシにも飲みにも よく連れていった
大学の悩みがあれば相談にのったり
本当の弟みたいに可愛いかった
あの日も
今回のコンサートは自分が演出だからと
観に来て欲しいって前から言われてて
智くんとの約束の前に
やっと時間があいたから 観に行ったんだ
コンサートも盛り上がり 大成功で
俺も先輩としての役割も果たしたし
そのまま
智くんのところにいけるはずだった
智くん主演の映画が公開になる
スケジュールの都合上
公開初日に観に行ける時間はとれない
DVDになるまでなんて待ってられないし
せめて 撮影お疲れ様、公開おめでとう と
智くんを労いたくて
あいつらの楽屋に顔を出して
コンサートお疲れ様 良かったよと声をかけ
シャンパンくらいは買っていく時間はあるよな
お祝いだし 美味しいの買って行こう
なんて考えながら
自分の車に向かおうとした
その時
風「兄貴って…同性と付き合える人だったんですね」
風磨のその一言が
俺の足を 止めた