第18章 後輩ー智②ー
翔「ただいま…」
おそるおそる部屋のドアを開ける
理由は 相葉くんからのLINE
『翔ちゃんごめん!今日知念ちゃんとご飯って大ちゃんにバレちゃった!』
おおかた相葉くんのことだ
うっかり口を滑らせたんだろう
翔「智くん…?」
智「お帰り 翔くん」
共同スペースから智くんの部屋へ
キャンパスに向かって筆を走らせてる
翔「ただいま お土産あるよ ワイン」
智「ん ありがと」
こっちを振り向きもせずに
ただひたすら色をのせている
何を描いているのかと キャンパスを覗けば
赤 いや緋? 一色で
翔「智くん?」
智「なに?」
翔「何を描いてるの? 珍しいね一色だけ使うなんて」
智「わかんない?」
翔「え」
くるっと俺のほうを向いて
その瞳は 不安を抱えたように潤んでいて
でも その奥に見え隠れする 強い意思
智「おいらのこころの中を描いてた」
翔「智くんの…?」
智「今日誰といた?」
翔「…嘘ついてごめん 智くん」
智「いい子だろ?知念」
翔「ああ いい子だね」
スッと俺の手から土産の袋を取り
入っていたワインを出す
コルクを画材のひとつを使って器用に開け
瓶のまま口をつけて
智くんの顔が近付いてきたと思ったら
唇が重なり 口内に液体が入ってくる
智「おいらが自分でどうにか出来ないと思ったんか…?」