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爆乳政治!! 美少女グラビアイドル総理の瀬戸内海戦記☆西海篇

第2章 屋代島攻防戦


 頭は良いが度胸がなく、物静かなサンジは時折こういう事を口走る。かわした事を察したのかサンジはもう何も言わずに、胸元の十字架を手に取り、何かしらをブツブツと呟く。実に陰気な野郎だ。

 キュウシュウのサガの生まれで、アメリカ軍の従軍神父へ教義について質問を繰り返し、あの堅物を辟易させたという武勇伝を誇るこのおしゃべり野郎は、実際、お仲間の釣り目の海藻ボーイ達とあまり交わろうとはしなかった。代わりにお得意のアメリカ英語で俺達の和に入ろうとして、結局、陰気すぎるのに自分で気後れして混ざれなかった。俺にも聖書を握り締めて何か問いかけに来てたのを思い出したが、俺はカトリック(Catholic)じゃないんだ。よそ当たれ、って言ってやると何だかしょげたツラしてトボトボ反転していったのを覚えている。丁度食堂のテレビとレコーダーを使って、カーネル(colonel)の居ぬ間に、島民産のハードコアムービーを鑑賞する親睦会を開く直前だった。こいつは島民の癖して空気の読めない、おかしな奴だった。指揮能力、作戦立案能力共に申し分なく、時折俺の仕事にご丁寧な指摘を寄越しやがるこの男だが、他の政治と自己アピールが好きなエリート達ともギャンブルとファックの好事家である大方の下士官や兵士達ともどこかよそよそしい付き合いしかできず、明らかに浮いていた。

 ある時休憩中に日米混ざって田舎自慢をする事になった時もいつの間にか席を立って戻って来なかった。そして、何となく気になってうろちょろしながら探したら、一人階段の踊り場で祈りを捧げていた。踊り場にはステンドグラスが嵌められていた。聖母と神の子をモチーフにしたステンドグラスに、このおしゃべりは黙って祈っていた。

 その姿は、日曜に礼拝へ欠かさず行っていた祖父母達とも違っていたのを覚えている。祈りの姿、挙動は似通っている。だが、サンジの祈りには悲愴な感があった。そして、奴は俺が近くにいるのを分かっていても祈り続けたのに、同胞が近くに来ると途端に祈りを止める。そして、胸元に手を置き、ボソボソと何かを述べていた。

 俺はこいつとは理解し合えないだろう。直感が冴えているんだ。まるで、コイツの事が分からない。そう思って以降、気にはなりつつも、サンジとは余り会話をしなかった。
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