第2章 愛してもらいたかった。
目を閉じる、おそらくイタチだろう彼は随分彼女を好いていた。
「そんな人いるわけないでしょう…?ダンゾウ様以外、いるわけありません」
ナルトは光の場所に引っ張ってくれたんだろう。どこまでも無邪気に、はそれが嬉しく、楽しかったんだろう。
イタチはただ、寄り添ってくれた。一人にしないでくれたのだろうただ、彼女の隣で彼女の話を聞いて、それが心地よかったのだろう。
ダンゾウという男は、が尊敬し、愛し世界のすべてで、規則そのものだったのだろう。
完璧な人。
彼女にはそう写ってるのだろう。
『お前は生涯此処で過ごせ』
はショックな顔をしていた。けれど、今はそれがどれほど正しいことだったか証明するばかり。
『私のそばにいればいい』
そう、ダンゾウの傍しか彼女の居場所はなかった。
それは冷たいだけの言葉ではないと、今なら彼女はわかってしまった。
「人は二人の人を同時に愛するのですか?私は人ではないので一人しか愛せません」
透明感ある金色のその瞳がまっすぐ見据える。
「今は、だけを好いているよ」
「私は…わからないから…」
「うん、そうだとおもった。だからもう挑発には乗ってあげない」
ぽとりと涙が落ちる。
いつぶりだろう、泣いたのなんて。そう思いながらそっと俯く。
恥ずかしいと何度も涙を袖で拭う。
一度も出来なかった。そっと腕を伸ばす。胸に収まる小さなか弱い身体は震え泣いていた。
「それと、その髪の色も好きだよ。初めてを見たとき天使の様な人だと思ったぐらい綺麗だと思っているよ」
声をあげて泣くにくすくすと何度か笑っていた。
手放したくないと思ってしまっていた。いつからか、あの日常に恋焦がれていた。
離れいく彼女が怖くなったのは一度戻ってきてから。
自分が呼んで声が届かなくなるのはこわいと思った。それが恋かどうかはわからない、けれど。
好きの言葉で繋ぎとめておけるなら。
今は惜しみなく使おう。