第11章 人狼とは。
家に帰るとは手を洗い買ってきたものや頂いたものを見て、紙に書いていた。
誰々から何をもらったかメモをつけていて記憶力に感心していた。
エプロンをつけ、真剣に書くのを見ながらお茶を飲む。
「グラスや食器でも洗おうか?」
「い、いえ!私がやりますからカカシ様は」
「洗っとくよ」
「⋯はい、お願いします⋯」
そのメモをどうするの?と聞けば、次回お会いした時にお返しをと言う。
なるほど、前回に食器屋のおじさんには何か頂いたのだろう。
まめな婚約者さん。
そこが可愛がられるのかもしれない。
メモを書き終えると、ガサガサと足元の袋を開けていた。
「カカシ様!今夜は豪華ですよ!」
張り切って袖を縛ると、嬉しそうに気合を入れていた。
「楽しみだねぇ」
は根菜や葉野菜を見てわーわーと感動をしているようだった。それを見て少し懐かしくなる。
「そう言えば父さんと話した?」
「ええ、昨日お越しになりましたよ⋯結構ぼろぼろになっておられたので心配でしたが⋯」
「なんでも、火影様からの依頼らしくてね俺も詳しくは知らないんだ。でも、父さんがあんなになるなんて⋯」
「あれは、正面傷ですからね」
ふと、下を見るとは眉を下げていた。父を見て同じことを思っていたらしい。
無抵抗の正面傷なんだろう。
「獣の爪での切り傷が多かった気がします⋯」
「どんな任務か想像がつかないね」
「はい⋯そう、ですね⋯」
二人でため息をつくと顔を見合わせる。
くすくすと笑い合うとは立ち上がり微笑む。おそらくすみませんと言いかけたから、抱きしめた。
「わっ、か、カカシ様!」
「んー良いでしょ独り占め」
「??私はカカシ様の婚約者ですよ」
「そーだよ、だけど、足りなくてね。こうしてずっと腕の中に閉じ込めておきたいわけ」
恐る恐る背中に回される腕。
「カカシ様⋯少しだけ、自惚れても良いのですか?」
「勿論でしょ」
「カカシ様が人狼と婚約だなんて悪口言われたりしていませんか?」
「ないよ」
「私は⋯とても⋯幸せだと、言ってもよろしいのですか?」
「そう思ってくれてるなら⋯俺も嬉しい」
「!⋯カカシ様⋯私今、凄く、ドキドキして、幸せです」