第10章 狼と狐と。
椅子を傾かせながら窓の外を眺める。
油だけならそう時間はかからないだろうになかなか帰ってこない、それはきっと遠くのスーパーまで行っているから。
近くだと売ってもらえず、帰ってくることがある。
前におやつが食べたいと駄々をこねた時、近くのコンビニで売ってもらえず、泣きながら謝っていたのを思い出す。
は化け物、それは誰もが知っているのだろう。
人をたくさんの殺したとか?
いや違うだろう。
人狼。
その言葉を思い出す。
「人狼⋯」
明日図書館で調べてこようと思いながらふと、窓を開ける。
涼しい風と共に、微かにの香りがした。
帰ってくる。
救急箱を片手に、桶に水をはってタオルを浸す。ガチャガチャという音を聞いて玄関に走る。
「おかえり!⋯!?!?」
真っ黒の男に抱えられていた。
頭から血を流し目からも血が流れていた。
「ど、なっ!?」
「悪いんだが、手当するものを用意してくれるかい」
「⋯よ、用意はしてあるってばよ」
お邪魔するよと言って入ってきたお面の男はをベッドに寝かせる。
ピタピタンと頬を叩くと目を開ける。
「、分かりますか?」
「⋯⋯まぁ⋯私⋯」
「先輩に見つかったら大変なことになりましたよ、ほら、少し起きれますか?」
「ふふ、そうですね⋯っん⋯」
真っ黒の男の手を借りて起き上がると目が合う。
「ご、めんなさい、おみやげ⋯」
「買ってきましたよ、ほら、杏仁豆腐」
は目を丸くしてふにゃりと微笑む。
「ですって!ナルト⋯ふふ」
「ほら、いいから、手当させて下さい」
あなたは自分の手当は雑なんですからと小声を言いながら救急箱を慣れたように使って手当をしていた。
「ん⋯⋯あの人に言ってはなりませんよ」
「なら、せめて残るような傷を作ってはいけませんよ、僕達が後でネチネチネチネチいじめられるんですから」
「⋯⋯ふふふ、ごめんなさいね」
そう言っては男の頭を撫でていた。
「すぐ子供扱いして」
なんだか、ムズムズして俺も手伝うってばよといいの顔の血を拭う。
優しく優しく。
「ふふ、ナルトいい香りです~!」
「こら、動かないで下さい」