第8章 婚約者。
「この繋ぎ方はね恋人同士ですよって事なんだよ」
「!?」
は目を丸くしてゲンマに見られる!と手をバタバタさせていた。
「アハハ簡単には取れないのがみそだね」
「か、かかし様!!これでは⋯」
「⋯どういう状況だよ」
「俺の恋人、そういう事」
「ちち、ちが、」
「確かにそうだ、ごめんね正しく言わなくちゃいけないね。こういう大事な事は」
はホッとしたようにし、ゲンマは眉間を寄せていた。
「婚約者だから、俺の」
「「はぁああああああああああああ!?!?!?」」
にこりとするカカシ、はふらりと目を回したように倒れていた。
それを見ていて可笑しくてたまらなかった。わざわざ大通りを歩き、婚約者だからと言いふらしているのを見ては目が覚めたら別世界だろうと、少し面白く思う。
彼女は今まで、極一部の人しか知られていなかった。
真っ白の髪の毛はやはり、目立つ。
「カカシ!おかえり!聞いたよ、抜け駆けしたんだってね!」
リンの言葉にニヤッとするカカシ。
「残念だったな、ってオビトに伝えといてくれる?」
「⋯むぅ!結婚したわけじゃないんだし、チャンスはまだあるよ!っとも伝えておくね」
「リン⋯ホントに言うつもりか?」
「ホントだよ!オビトの一目惚れだよ!オビトの方が大切にしてくれるよきっと!」
「どう言う意味だよ⋯」
「初だから?」
「なるほどな、後で覚えておけよ、リン」
「あーあーあー⋯」
そう、人の心は変わりやすいとカカシは知っているからだろう。
けれど、は真逆だ。
人の心は、人の人生は、どの人も、変わらない事をよく知っている。
「おめでとうカカシ」
リンの言葉に柔らかく微笑む。
「あぁ、今度こそ、二人で幸せになるからな⋯もしもの時は助けてもらうよ」
リンは目を丸くして、頷いていた。
そんなこんなで、帰宅するまでに地味に顔が広いカカシの知り合いには皆告げて歩き、の顔も自ずと知れ渡る。
ついでに近所にまでお土産を渡しながら言っていた息子にはお手上げだった。
なんて嫉妬深いんだ。
どれだけ、必死なんだろうと。
きっと、自分が考えるよりカカシが思うより、必死だろう。
もう、彼女を失わないために。