第16章 【裏】私は飯田くんと致したい!/飯田天哉
超常が日常となった世界。人口の約八割が何らかの〝特異体質〟を持つ現在、私もその八割のうちの一人だった。私の個性は〝千里眼〟。その名の通り、千里先をも見通せる。この個性のおかげで子供の頃はかくれんぼが得意だった。遠くを見通せるだけで、それ以外の事は出来ない。個性を極めれば透視も出来るらしいけど、別にヒーロー志望ってわけではないから、個性を強化する努力もしなかった。けど、気付いてしまった。自分の個性の凄さに。この個性、時間場所問わず覗きし放題。思春期を迎え、男並みに育った性欲。下半身で彼氏を選ぶようになったのはごく自然の流れる。その為、過去付き合った彼氏は大きさだけで言えば当たり。大きいだけで性技が伴ってない奴もいたけど。で、高校生になった今、巨根の彼氏を求め、覗きに励んでます。
「遥香、ヒーロー科の先輩に告られたのにフったんだって?イケメンなのに勿体無い。あの先輩強個性だし、将来有望じゃん。なんで?」
クラスメイトである友人にそう尋ねられた。確かに顔はイケメンだったし、個性も強い。将来日本の未来を担うヒーローになるだろうけど、先輩の下半身にぶら下がるアレは極小。無い。絶対有り得ない。付き合ってセックスする事になっても満足出来ないのは目に見えている。いくら服で見えない部分が完璧でも、アソコがお粗末じゃ私の彼氏としては不合格。というか、問題外。
「だって、先輩の事よく知らないし…。いい加減な気持ちで付き合うのは失礼だし…。それに、付き合うならちゃんと好きな人と付き合いたいから。」
先輩の下半身事情をベラベラと話せるわけもなく、当たり障りの無い返答で言葉を濁せば、そういう反応が一々可愛いと抱き締められた。
高校での私は大人しいという設定で通ってる為、誰も私の胸の内を知らない。きっとここにいる誰よりも性欲が強く、下品な事を考えているのに。
「私が男だったら絶対遥香と付き合う。」
「ふふっ。ありがとう。」
私も友人が男で、巨根であるなら大喜びで付き合うよ。