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【WJ】短編 -2-

第11章 【裏】見えない優しさ/ナッシュ・ゴールド・Jr


「ナッシュ!」
「遥香っち!?まだ休んでなきゃダメっスよ!」
「なんで?」
「なんでって…。」


 言いづらそうに涼太は口をもごもごと動かした。


「そもそも俺は遥香っちがコイツと付き合ってんの反対なんスからね!」


 それを聞くとナッシュは涼太を小馬鹿にするような笑みを浮かべた。


「お前が反対だろうが賛成だろうが、関係ねぇよ。周りがどんなに反対したって、コイツは俺から離れらんねぇんだよ。」


 その言葉に再び涼太が犬のように吠え出した。他の人の目から見たら、ナッシュは凄く勝手に見えるのかもしれない。けど、私は知ってる。助けに来てくれたナッシュの怒りは私を襲った男達に向いていたのではなく、自分自身に向けられていたものだと。無理矢理ナッシュが私を抱いたのも、私が後ろ向きに物事を考えないようにしてたって事。そして、私が皆に追求されないようにしてホテルに送り届けてくれた事も。不器用で乱暴だけど、ナッシュがちゃんと優しいって事、私は知ってるよ。だからナッシュに惹かれたんだ。


「…ナッシュ。まだ離れたくない。」
「遥香っち!?」


 ナッシュの手を取ると、ナッシュは口角を上げた。


「続きは俺の家だな。」


 襲われた事を思い出せばまだ体が震える。だから、ナッシュに包み込んでいて欲しい。


「ちょっと遥香っち!自分が何言ってるか分かってるんスか!?」
「涼太、心配してくれてありがとう。ちょっと分かりにくいかもしれないけど、ナッシュって凄く優しいの。ナッシュとはまた暫く会えなくなっちゃうから…。お願い、黙って行かせて?」


 眉間に皺を寄せ、下唇を強く噛み締めた涼太は、遥香っちにそんな言い方されたらダメなんて言えるワケ無いじゃないスか。そう言って肩を落としながらホテルへと戻って行った。


「ナッシュ。」
「あ?」
「今度は優しく抱いてね?」
「…気が向いたらな。」


fin.

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