第39章 一週間遅れの…【krk 紫原敦】
確かに先週はバレンタインだったけど…。
「結依ちん、休みだったじゃん。だから、学校来るの待ってたのに。やっと来たからさ、貰えると思って昨日1日待ってたのに全然くれないじゃん!!!なんで?」
「なんで?って…私、紫原くんに『あげる』なんて言ったっけ?」
「言ってねーけど、あの辺の女子と、手作り配るって言ってたし」
彼が指差す先には、私と仲の良い友人達。
否…
確かに彼女達と当日に手作りを交換しようと…
所謂友チョコ交換会を企画してはいたが、私は当日に欠席をしたんだから交換なんてできるはずない。
それに、この話に紫原くんは加わっていない。
「あの辺は皆くれたのに、結依ちんは俺にくんねーの?好きな子のチョコは欲しいに決まってるじゃん。いつまで待たせんのー?」
えっ?えーっと…
紫原くんの言葉に、教室内が静寂する。
クラスメートが此方を向く。
結構な声量でとんでもない事を言われた気がするけれど…。
「明日、絶対に持ってきてよね!!約束だかんね!!」
クラスメートの好奇な目なんてお構い無しで、ビシッ!!と中指を突きつけて自席へと戻っていく彼。
半ば強引に取り付けられた約束に戸惑いがないわけではないがそれよりも…
皆の視線が痛い。
今日1日、私は平和に過ごせるのだろうか…。
今、来たばかりだけれど、早く放課後になればいいと切に願うのだった。