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いとし、いとし【短編集】

第34章 自分達の事は棚に上げて!!【刀剣 浦島虎徹】


「蜂須賀兄ちゃんは長曽祢兄ちゃんの事嫌ってるけど…正直、贋作がどうとかどうでもいいよねー」


口を尖らせて、かわいい顔でブー垂れる浦島くん。


「兄ちゃん達には仲良くしてほしいのになぁ…」と。


『虎徹を見たら贋作と思え』と言われた時代に、数少ない真作であった事を誇りに持つ我が本丸の初期刀は最近来た兄とどうも折り合いが悪いらしい。


よかれと思って兄弟同室にした私の判断は間違いだったらしく、喧嘩の耐えない(と言っても、蜂須賀が一方的に突っかかってるだけにも見えるが…)兄達。

そんな兄達の間で板挟みになっているのが、この虎徹兄弟の末っ子くんだ。


今日も就寝前に、そねさんがハチの物を勝手に触っただのなんだので喧嘩をしたらしい。

浦島くんが言うには、『布団を敷くのに邪魔だから長曽祢兄ちゃんが退けただけ』だと…。


基本的に誰とでもすぐに仲良くなれる彼は、毎日の兄達の喧嘩に耐えきれず、『俺、家出するから!!』と布団一式を抱えて私の自室に逃げ込んで来た。
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