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いとし、いとし【短編集】

第25章 男同士の会話なんてそんなもの【krk 小金井慎二】



「慎二…?」


「あの…ね、怒んないでよ?日向とかが、女子の身体ってどんな感じ?とか聞くからさ…。抱き締めると柔らかいって、言いたかったんだ」


「はっ?」



慎二から飛び出したチームメイト達との話の内容に私は開いた口が塞がらなかった。





「否、だからね。男同士だし、なんとなく、そんな話にもなるじゃん。んで、バスケ部で彼女居るのってオレとつっちーだけでしょ?でも、つっちー達は手を繋ぐだけの清い清いお付き合いみたいだからさ、女子って抱き締めると柔らかくて、フニフニして気持ちいいんだぞって自慢したかっただけと言うか…なんと言うか…」

「はぁー!?」


「否、だからね。オレ的にはこのままが良いと言うか…。正直言って、カントクみたいに痩せられると嫌なんだよね。ははっ」

何言ってんのこの人?

さも当たり前の日常会話の様に、
普段通りに笑いながら話す彼に、
私の怒りボルテージが上がっていく。

私のさっきのドキドキ返せ‼



「ばっかじゃないの!?何言ってんの!?そんな、男同士の下の話に私やリコを持ち出さないでくれない?」

「否、でも…」

「信じらんない‼本当あり得ない‼フツウする?こんな近場で話題に取り上げる?」


「しょうがないだろー‼男なんだから‼興味あるに決まってんだろ‼」


「はぁ?開き直り?ってか、何話したわけ?どんな話したわけ?私、どんな顔して部活行ったらいいわけ?」


「大丈夫だよ。今までも皆フツウだったでしょ?」


「今までって何?前からそんな話してたわけ?本っ当、信じらんない‼」




再々度繰り広げられる不毛な痴話喧嘩に、

いつもは仲裁役である穏やかな友人は、

呆れたため息を溢して、

『勝手にやってろ‼』
とでも言わんばかりに私達を一瞥して、

この場を去って言った。

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