第7章 彩駆。
千代は機嫌がよかった。
内密に欲していたものが手に入ったから。
とても機嫌がよかった。
一口口にして、大切に蓋を閉めて机に置く。
夜伽が頻繁になり王は本当に子供をと言っていた。然程子供好きなわけでもあるまいにその本心が解らずにいた。
瑠花から届く髪飾りを眺め書をしたためる。
敬愛する瑠花姫様へ。
書き出すと、バタバタと騒がしく首をかしげる。最近は唐突に王が来ることにも慣れそれ程バタバタとすることも無かった。
「どうなさりました?」
「も、申し訳ございません⋯その」
幼い声音と栗花落姫様の声。
千代はゆらりと部屋を出る。
鬼のような顔をした栗花落姫と、可愛い可愛い息子が泣きながら走ってくる。