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【彩雲国物語】彩華。

第6章 番外編


千代は深くため息をついていた。

「なんで私が主上のパシリなんかしなきゃ行けないのよ⋯邵可にでも頼めばいいじゃないの⋯」

ぶつくさ言いながら書類を抱え歩く。
「千代じゃねぇか」
「陵王様!」
頭を下げるとがしっと首を捕まれビクリとする。
「んなとこでなぁにしてんだ?」
「⋯⋯主上の使いですよ」
「パシリか!」
「ち、ちがっ、使いです!」
「同じだろ」
「違いますよ、主上が旺季様に会ったら話が進まないからとりあえずお前が書類忍ばせてこいって重要な任務です」
陵王はぶはっと吹き出す。
「そんで、旺季が昼時だろう今にか」
「そうです⋯⋯どうせ揉めるんですから堂々と置きに行きたいんですけど⋯主上が⋯」
「お前ほんと主上に甘々だなぁ」
髪の毛をグシャグシャにされ、ムスッとしながら陵王を見上げて思い出す。
「あっ!この間のお菓子美味しかったです!食べ物はいいですね!」
「おっならまだあるぜ、取りに行くか」
「いいんですか!?」
廊下のど真ん中で楽しげにする2人。千代はすっかり主上の依頼を忘れて先日貰った桃饅頭と杏仁豆腐の事で頭がいっぱいだった。
「馬鹿者!!」
ヒエッと、陵王と振り返る。
そこにはオッカナイ顔をした旺季が立っていた。
そこでやっと思い出す。
あ、主上からの依頼があったことを。
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