第8章 私の相手は貴方だけ
そして当日。目覚まし時計が鳴る前から目が覚めてしまう緊張感。ショーに出ると知った途端親も見に行くと張り切ってしまい、監督も来るし、後輩達も見に行くと豪語していたのを思い出すと本当に緊張で転びそうだと思う。
「な、なんつー顔してんの東峰!?」
登校時、珍しく朝名と遭遇したかと思えば第一声がそれだった。
「しっかりして!ちょっと!今日だよ!?!」
「・・・すまん、すまん。」
隣で慌てる名に謝りつつ、落ち着けと頭を軽くたたく。
「おーおー、朝からいちゃついてんなー」
すると菅原が現れ、
「旭とうとう今日だな」
と澤村が現れる。
「「いちゃついてないからっ!!」」
と声を合わせる二人に早くくっつけば良いのにと思うもう片方の二人。学校に着いてもショーまでには時間があり、しばらくは四人で校内を回っていたが時間が近づくと一度別れ東峰達は支度に入る。
「皆凄いな。」
と家庭科室はすっかり舞台裏状態で、相手役の男子達は男より格好良く見える男装した女子や、きちんとタキシードやスーツに身を包む先生達に圧倒され居場所がなくなっており、方や女子側はメイクを施したりと大忙し。東峰も着替えて髪型とうっすらメイクを施されると
「後は自由にしてて良いよ。皆のとこ行ってくる?」
と聞かれて緊張からか反射的にうんと言ってしまい、
「格好良いっす旭さん!」
「かっけー!良いっす旭さん!すげぇ」
バレー部の皆のもとに行けば誉め言葉の嵐と
「年齢詐称すぎるだろ」
「ただのおっさんじゃん!」
「先輩、私服になるとますます老けますね」
と茶化す言葉の嵐。すげーすげーと言う日向達に照れながら、ますます緊張する東峰。
「いや、本当に良かったな旭」
「へへ、そーな」
はにかむ東峰に、こちらも嬉しくなってしまう菅原
「じゃ、見に行くから」
「うん」
「転ぶなよ」
「う、うん」
「そこは自信もって!心配になるから!」
そうして名の支度が終わったとのことで、メンバーに見送られながら控え室に行く東峰。そして、家庭科室の前で一息深呼吸をしてから扉を開けた。
開けた途端、ごった返す部屋の中で直ぐ様名が目にはいるのは重症だろうと思いつつ、その前に見たことがある後ろ姿に緊張しながら近づく